木製デスクに並べたスマートウォッチと比較チャートをチェックするアナリスト

ウェアラブル

スマートウォッチ3機種を使い分けたデータ利活用術

Apple Watch、Garmin、Fitbitをプロジェクトに応じて併用し、収集データの粒度とチーム共有フローを検証しました。

3機種のデータ粒度とバッテリー性能を比較

Apple Watchは心電図や血中酸素など医療レベルのデータ取得が強みで、日中の通知連携も滑らかでした。一方でバッテリーは18〜24時間が限度で、睡眠ログと日中活動を同日で取るには充電タイミングの工夫が必要です。

Garminはランニングやサイクリングなどアスリート向け機能が充実しており、VO2maxやトレーニングレディネスの指標がプロジェクトの集中度管理に役立ちました。バッテリーが7日以上持つため、長期出張でも安心です。Fitbitはシンプルなダッシュボードとストレススコアが秀逸で、生活者視点の共有資料に載せると意思決定がスムーズでした。

チーム共有におけるデータ粒度と同意形成の手順

プロジェクトチームでデータを共有する際は、目的と共有範囲を明文化した「データ使用合意メモ」を作成しました。共有する指標は、睡眠スコア・ストレス指標・アクティブ時間に限定し、生体データの詳細値は個人に留める設計です。共有前には匿名化スナップショットを生成し、個人が同意した部分だけをダッシュボードに掲載。

データ共有メモの構成例

  • 目的:チームのコンディション変化を把握する
  • 共有項目:睡眠スコア、ストレススコア、アクティブ時間
  • 保管ルール:30日で自動削除、アクセス権はプロジェクトマネージャーのみ

こうした準備を経ることで、「データの価値は理解しているがプライバシーが不安」というメンバーも安心して参加できました。

人事データベースとの連携と分析プロセス

人事HRISと連携する際は、社員IDベースではなく疑似IDを発行し、属性情報との突合せは分析担当のみが実施。分析結果はダッシュボードで共有し、個人名ではなくチーム単位の傾向として報告しました。

Garminのトレーニング整備指標をもとに、プロジェクトのピーク時に休息日を配置する提案を行ったところ、残業時間が平均で12%削減され、メンタルヘルス相談件数も低下しました。データ利活用は「人を追い込む」ためではなく「休みどころを見つける」ために活用する。そうした姿勢を明確化することが社内定着の鍵になります。

導入ガイドラインとサービス開発のヒント

プロダクト側に伝えたいのは、法人向けプランに「データ共有プロトコル支援」を組み込むことです。テンプレートやロールモデルがあるだけで導入コストは大幅に下がります。また、データの説明責任を果たすために、指標ごとに「健康改善」「働き方改善」など、用途別の活用例をライブラリ化すると、ユーザー企業の社内稟議が通りやすくなります。

最終的には、ウェアラブルデータを人材マネジメントに統合し、人的資本情報開示のKPIと接続する未来が見えました。個人のプライバシーを守りながら、組織全体のパフォーマンス向上に寄与するための共通基盤づくりが今後のテーマです。

ウェアラブルデータ活用ガイドを入手

データ共有プロトコル、疑似ID設計テンプレート、社内合意メモ例を収録した資料を提供しています。

資料提供は現在行っておりません。